料理が面倒になった母に、私がした小さな提案

親との暮らし

私の母は、昔から料理上手で、料理教室で習った料理を食卓に並べてくれるような人でした。

小学校から帰ってくると、換気扇から良い匂いがして、テーブルには白鳥の姿をしたシュークリームが。子どもの頃の私は、それが大好きでした。

母が友人から教えてもらったレシピも増えて、母は働きながらも、家族のために一生懸命食事を作ってくれていました。

料理上手だった母の変化

あれは、家族と一緒に実家に泊まりがけで遊びに行った時のことです。

テーブルに並んでいたのは、スーパーで買ったパーティーセットと、パック詰めのお惣菜。

ちらし寿司だけは手作りのようでした。

母は私に、「ちらし寿司は友達に作ってもらったの。美味しいよ」

と、ささやきました。

ちらし寿司は得意料理だと豪語していた母の言葉とは思えず、私は返す言葉が見つかりませんでした。

翌朝は、私が持って行った菓子パンとインスタントコーヒー、果物。

昼食は近くのご飯屋さんに行きました。

買っておいてくれたお土産をもらって、帰路につきました。

どうしたんだろう。

80代になったら、料理はしんどいのかな?

考えても、答えは出ませんでした。

両親のもとへ、片付けに通うようになって

2カ月後、私は一人で両親のもとへ行きました。

もともと片付けが苦手な母なので、台所や部屋をきれいにしたら、気持ちもすっきりするのではないかと考えたからです。

最初は乗り気ではなかった母も、部屋が片付いてくると喜んで、手伝い始めました。

それからは、2〜3カ月ごとに両親のもとへ、片付けに行くようになりました。

両親は次第に、困り事や日々の生活について、よく話してくれるようになりました。

そんな話の中で、母がこんなことを言いました。

「昔よく作ったナスの煮物を作っても、前の味と違うの」

レシピを忘れてしまったというのです。

父に聞くと、買ってきたお惣菜を、そのまま皿に出すことが多いとのこと。

冷蔵庫の中も、あまり整理されていませんでした。

母に何をしてあげればいいのかな

自宅に戻る車の中で、私はどうしてあげればいいのか考えました。

まずは、両親が食べやすいように、調味料を管理して作った昼食を数種類、冷凍便で送りました。

お好み焼きに、父の好物の赤飯や中華あんかけなど。

食べ終わりそうな頃合いを見計らって、別のメニューを送るようにしました。

両親は喜んでくれているようでした。

「最近、料理が面倒で」

ある時、母と2人で過ごしていると、

「今日の晩ごはん、何か作ってくれるの?」

と母が言いました。

「ママが作ってよ」

と私が言うと、

「最近、料理が面倒で」

と、母がつぶやきました。

気が向いて作ってみても、美味しくないと言うのです。

昔はあんなに料理をしていた母が、料理を面倒だと感じるようになったとは。

私は、どうしたらいいのかな、と考えました。

私が作ったのは、調味料を中心にしたレシピファイル

自宅のリビングで、どうしたらいいのか悩んだ末、レシピを書くことにしました。

基本になる調味料を中心に、

煮物

焼き物

和え物

サラダのドレッシング

など、大きく分けてファイルにしました。

もちろん、母が「前の味と違う」と言っていた、ナスの煮物のレシピも入れました。

これなら、料理をしようと思った時に、分量を確認できます。

昔のように料理を作れるようになるかどうかは分かりません。

でも、「何を入れたらいいんだっけ?」と迷った時に、少しでも助けになればと思いました。

「早速、作ってみるわ」

後日、母から連絡がありました。

「ありがとう〜。色々のってて、早速作ってみるわ。いつも困った時に助けてもらって、本当にありがとう」

と。

来月、両親のもとへ行く予定です。

レシピファイルを使っているかもしれないし、使っていないかもしれません。

それでも、高齢になった両親が、困り事を家族に話してくれたら、それで良しだと思っています。

私が行くと、多くを語らない父が、あれもこれもと話してくれます。

私は思いつく限りのアイデアを出して、みんなで話し合います。

これから、もっといろいろな困り事が出てくるのでしょう。

でも、なんとなく、みんなで話しながら乗り切れそうな気がしています。

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