ある時期、庭でメダカを飼っていました。
浅めの水槽に石や藻を入れ、メダカを泳がせました。夏から秋にかけては、ボウフラがわかないように、上からネットを張った覆いをして。
覆いの奥にいたイトトンボ
時々、水を替えていたのですが、その日、覆いを外そうとすると、奥に何かがとまっています。
何だろう?
よく見ると、細長い水色のトンボのようです。調べてみると、イトトンボだと分かりました。

放してやると、ツィーと飛んでいきました。
どこから入ったのでしょう。
その後も、メダカの水替えを欠かさずにしていましたが、何だかメダカの数が少なくなってきたような気がするのです。
共食いなのか、病気で死んでしまったのか。日に日に数が減っていきました。
メダカの水槽にいた意外な生き物
水槽の中を端から端までくまなく観察してみると、見慣れない生き物が入っていました。
なんと、イトトンボのヤゴでした。

数日前に覆いから放してやった、あのイトトンボが産卵したのかもしれません。
もしかすると、このヤゴがメダカを食べていたのでしょうか。そう考えると、メダカの数が減っていたことにも納得がいきました。
ヤゴをそのままにしておくわけにもいかず、別の容器に移して世話をすることにしました。
名前は「イットン」
メダカをヤゴのエサにするわけにもいきません。
そこで、家の裏側にある水たまりにわいていたボウフラを、毎日数匹捕まえることにしました。
ボウフラを水槽に放して、もし生き残って蚊になったら困ります。そこで、ヤゴの口元に持っていき、食べさせることにしました。
食欲旺盛なヤゴは、どんどん大きくなっていきます。
名前もつけました。
「イットン」です。
イットンは石の間に入ってみたり、よく動き回っていました。
いよいよ羽化のとき
2週間ほどすると、イットンはボウフラをほとんど食べなくなりました。
背中の辺りが膨らみ、体つきも変わってきました。
やがて、イットンは水槽に挿しておいた割り箸の、水面近くにしがみつくようになり、それからは、ほとんど動きません。

数日後、イットンは割り箸をゆっくりと登っていき、上の方につかまりました。
そして、夜から朝方にかけて、ゆっくり、ゆっくりと羽化を始めたのです。
やがて、立派なイトトンボの成虫になりました。
良かったね、イットン。
庭から飛び立つイットン
羽化したイットンを庭で放してやると、お母さんイトトンボと同じように、ツィーと気持ちよさそうに飛んでいきました。
イトトンボの羽化を間近で観察できるなんて、思いがけないことでした。
良い機会をありがとう。
心の中で、そう呟きました。


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