お会いしても挨拶を交わすくらいだったご近所の方と、ひょんなことからイチジクの話になり、お互いの庭を訪ねるようになりました。
ある日、私が育てたイチジクの苗を差し上げたら、枸杞(くこ)の幼苗を譲ってくださいました。
初めて見る枸杞の苗は、イチジクなどとは違い、細くて繊細です。珍しい枸杞の苗だから、大切に育てよう、そう思いました。
夏になり、バラの葉が濃い緑になるころ、枸杞の葉は元気がないように見えました。弱っているときに、いきなり肥料をやるわけにもいきません。
譲っていただいた苗なので、早々に枯らすのは避けたいのですが、日を追うごとに、1枚、また1枚と葉が落ちていきます。そして、夏の間に、枸杞の葉はなくなってしまいました。
枸杞の植え替え時期は6月まで。8月のような盛夏は植え替えに向いていないと承知の上で、植え替えてみることにしました。
以前から気になっていたのは、水やりをしても、なかなか水が鉢から出てこないことでした。枸杞は多湿を嫌い、水はけのよい土が合うらしいので、土を替えてみようと思ったのです。
とはいえ、植え替えに適した時期ではありません。うまくいく確証もありませんでした。
鉢から出した枸杞の根は、白くて短く、ひょろひょろでした。葉もなく、ひょろひょろとした枝だけが残っています。どう見ても、土に枝が刺さっているようにしか見えません。
たぶん無理だろう。今度ご近所の方にお会いしたら、謝ろう。
そんなふうに、半ば諦めながら、イチジク用の水はけのよい土に植え替えました。
それでも、毎日の水やりは欠かしませんでした。さぁーっと水が鉢から抜ける土が、枸杞に合っていたらいいな。そう思いながら、葉のない枸杞に水をやり続けました。
植え替えから2週間ほど過ぎたころ、枸杞の枝に、小さなコブのような盛り上がりを見つけました。あちらこちらにあります。
何だろうと思いながら様子を見ていると、それから数日後、かわいい緑の葉が1枚ついていたのです。
やった! 復活だ。
その後は、みるみるうちに葉の数が増え、新しい枝も伸びてきました。葉が風にそよぐようになり、枸杞は元気を取り戻したように見えます。

植え替えの時期としては遅く、葉もすべて落ちてしまい、もうダメだと諦めかけていた枸杞。復活した姿は、堂々として見えました。
植物が枯れてしまうのは残念なことです。特に今回は、ご近所の方のご好意で譲っていただいた枸杞だったので、復活して本当にホッとしました。

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